
殺虫剤を売る仕事もしたことがあります。デブあひるです。
今回は夏の厄介者、蚊に対する殺虫剤をタイプ別に紹介していきます。
刺されたら痒いだけでなく様々な病気も運ぶ蚊ですが、実は最も多くの人間を殺害する生き物であります(2位は人間です…)。
このデータはマイクロソフトの創始者ビルゲイツ氏が運営するビル&メリンダ・ゲイツ財団が報告したもので、サメに6人、ライオンに22人の人間が年間あたり犠牲になるのに対して、
蚊はなんと年間750,000人もの方が犠牲になっております。多くはマラリアやデング熱などによるものです。

ひえっ!蚊って怖いんやな……
日本において同じ様な状況ではないものの、いつ奇病新病を媒介しだすとも限りませんし、そもそも痒さだけでも生活の質は大きく下がってしまいます。
主婦(主夫)として家族の健康には万全の対策を取りたいところですよね。
各メーカー様より発売されております殺虫剤は、いずれも心強い猛者達ですので特徴をしっかり学び、ご自分の使い方にあったものを選んで下さい。
夏の蚊取り タイプ別解説
一口に蚊取りといっても、その種類はたくさんあり、それぞれのタイプに対して複数のメーカーが商品を取り扱っています。今回はタイプ別の特徴をまとめますので「うちの使い方ならこのタイプにしよう」と思って頂ければと思います。
蚊取り線香
まずは夏の定番 蚊取り線香をご紹介致します。
あの独特な渦巻き型の先端に火をつけて使用します。蚊取り線香はご存知の方も多いかと思いますが、大日本除虫菊株式会社(KINCHOのブランド名で有名ですね)の創業者 山上英一郎氏が考案されました。最初は棒状だったのですが、奥様の助言もあり現在の形状となり、長時間の使用が可能になりました。
蚊取り線香の有効成分
開発当初は除虫菊を練りこんでいたためピレストリン。現在は化学合成されたピレスロイド。
蚊取り線香のメリット・デメリット
蚊取り線香のメリットは火さえあれば簡単に使用できる点です。開発が遅れている国などでは電気の通っていない地域も多く、そういった場合には蚊取り線香は有効と言えます。
デメリットとしては火を使うこと、それに伴う煙が発生すること、設置のための器具や場所が必要なことです。
火を使うことは火災や火傷に繋がり、煙も室内使用するにはあまり適してはいません。
※ただし屋外使用時は煙そのものを嫌う虫もいるためメリットの一つとなりますが。
また、煙自体に殺虫成分は含ませておりません。殺虫成分は燃焼部分よりも少し離れたところから逐次蒸散しています。
マット式蚊取り
マット式蚊取りは今の若い方にはあまり馴染みがないかもしれません。昔はお婆ちゃんの家に遊びに行くとコンセントに刺さっているイメージがありましたが。
マット式蚊取りを最初に製品化したのはフマキラーという会社です。それまでの蚊取り線香と違い、火も使わず煙も発生させないという利点があり、その後発売された後述の液体式蚊取りと共に電気式と括られることもあります。
使用方法は専用の器具をコンセントに差し込みマットの装着部を発熱させ、その上に有効成分を含ませたマットを置いて使用します。
マット式蚊取りの有効成分
ピレスロイド系薬剤
マット式蚊取りのメリット・デメリット
マット式蚊取りのメリットは先にも挙げましたが火を使わないことと煙が出ないことです。それまでの蚊取り線香のデメリットを無くし非常に使いやすいものとなっております。
デメリットは発熱部に触れると危険であることと(近年改良された商品も多くありますが、電池式にて後述します)、持続時間が短い点です。
マット式は半日から1日の使用時間となっており、その都度マットを交換する必要があります。
リキッド(液体式)蚊取り
リキッド式蚊取りで有名なのはアースノーマットです。このリキッド式蚊取りはマット式の弱点であった持続時間の弱点を克服しました。ボトルの中に有効成分を溶かしこんだ液体を入れ上部にある芯を加熱することで薬剤を散布します。
リキッド式蚊取りの有効成分
ピレスロイド系薬剤
リキッド式蚊取りのメリット・デメリット
リキッド式のメリットはその持続時間の長さです。1本のボトルで数十日使用でき、複数本セットでの販売もあるので蚊取りが必要な一夏をカバーすることができます。
逆にデメリットは電気を利用するため、コンセントに挿す必要がある=複数箇所での同時使用が出来ない。(マット式も同様だが)電気式は電源がコンセントのため停電時に使用出来ず、災害時の使用に不安が残る。
※USBに挿すタイプなどもありますが結局同じことですね。
電池式(カートリッジ式)蚊取り
マット式やリキッド式の弱点は主に電源に繋がないといけない、という点でした。電池式ではその弱点を克服し、より使いやすい蚊取りとなっています。
このタイプはフマキラー社が多くのラインナップを持っているようです。電池式はそれまで必要だったコンセントの代わりに電池を利用します。薬剤を含ませた部分にファンで風を当てて薬剤を飛ばすという基本的なつくりはどの商品も同じです。
部屋用や屋外用と種類も別れます。実際に使用したことがあるものだと、フマキラー社のどこでもベープというシリーズは薬剤と電池が一体のカートリッジになっており、電池が切れた=薬剤が切れたということになり交換が簡単でした。
電池式(カートリッジ式)の有効成分
ピレスロイド系薬剤
電池式(カートリッジ式)のメリット・デメリット
電池式のメリットはコンセントを利用しないため、持ち運びができることや、災害などの停電時にも使用できる点です。また薬剤以外の不要な物質も飛ばさない点も安心です。
デメリットはこれまで紹介してきたタイプに比べると少ないですが、あえて挙げるならば設置したその部屋でしか活躍しないことでしょうか。効果が欲しければそこに置きっ放しにする必要がありますので。
ワンプッシュ型蚊取り
最後に解説するのはワンプッシュ式蚊取りです。ジャンルとしては最も新しいタイプとなり、大手各社から様々な形状のものが発売されています。
基本構造は皆同じで、一回プッシュして使用すればその部屋で蚊取りとしての効果を12時間(24時間)発揮するというものです。
ワンプッシュ式蚊取りの有効成分
ピレスロイド系薬剤
ワンプッシュ式蚊取りのメリット・デメリット
ワンプッシュ式のメリットは持ち運びが非常に簡単で、一つでいくつもの部屋をカバーできる点です。1回のプッシュで12時間(24時間)効果が持続するので必要な部屋に持っていきプッシュすればいくつも購入しなくても使用出来ます。
デメリットは使用直後は換気せずに使用することが推奨されていることくらいではないでしょうか。非常に使いやすく我が家でも毎年このタイプ一択です。
まとめ 殺虫剤は進化している
今回のご紹介は以上です。
殺虫剤の発売の歴史に沿うような順番で解説して見ましたので、企業がより良い製品を作りたくで努力した歴史も感じていただけたのではないでしょうか。
今回は蚊取りに絞って取り上げましたが、また気が向いたら他のジャンルも紹介したいと思います。
最後に安全性に関してお伝えしておきます。
有効成分に多く使用されるピレスロイド系薬剤は除虫菊に含まれる成分とよく似ていて、哺乳類に対しては速やかに代謝・排泄されることもあり、昔から広く家庭用殺虫剤の殺虫成分として利用されています。
ただし、昆虫や熱帯魚を飼育している方はお気をつけ下さい。ピレスロイド系は昆虫の神経系に作用する薬剤であり、また爬虫類や魚類に対して強い毒性を示します。
また、人体に対しても安全性に関しては十分に検討されているとは言え、説明書をちゃんと読んで安全に留意しながら夏の蚊対策をとって下さい。
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